オリーブの栽培

Q: 日本で育ちますか?

オリーブはその起源は中東で、そのあとギリシャ、イタリア、スペインヘと広がりました。地中海性気候の温暖な地域の植物と思われがちですが、とても適応力があり、日本でも育ちます。

オリーブガーデンが見聞している栽培の北限は、地植えでは宮城県石巻市、鉢植えで冬は室内で育てている北海道札幌市、ビニールハウスで栽培している旭川の近くの上川町。南は九州です。6千年以上の栽培の歴史を持ち、世界各国で栽培されているオリーブ。日照と適切な管理で育ちます。

オリーブの開花には冬の寒さが必要です。正確には品種毎で少し異なりますが概ね気温12℃以下がある一定期間続くことが必要です。

Q: 雄雌の木が必要ですか?

オリーブには雄・雌はありません。品種を選べば、1本でも自家受粉します。自家受粉する品種もたくさんありますが、受粉木があるとより結実しやすくなります。

Q: ベランダでも栽培できますか?

成長すると数メートルになる種類もありますが、園芸として木を高くせず鉢植えで楽しみ、秋には実を収穫して漬物をつくなど楽しむこともできます。マンションなどでは、よく陽当たりと風通しの良いベランダ、ビルの屋上など、日の当たる場所で育てることをお勧めします。鉢植えの時は、水やりを忘れないようにします。

Q: 本格的に栽培を始めたいのですが?

栽培の目的、栽培地の環境(天候、風土、土壌)、栽培品種の選定、収穫を考慮した圃場設計、苗木の調達、営農管理(潅水、肥料、剪定)などを検討してから始めることをお勧めしています。ご相談下さい。

Q:水やりは必要ですか?

ほとんどの植物の成長の決め手は”水と栄養(肥料)”です。オリーブは、乾燥地での作物と見られ、地中海性気候で成長し、長期の乾燥に耐える植物です。しかしながら、近年では良質のオリーブの実を多く生産するためには、ごくわずかの灌水でも効果があることが知られ、オリーブの健康のためには適切な水分を供給することが必要です。

特に夏の時期は、オリーブの果実を大きくするためにも適切な水やりが必要です。6月から収穫まで適切な水分が不足すると、実の細胞の数が増えず、さらにその細胞も小さいままになります。

鉢植えでは、水分不足と過度水分に留意します。1週間以上水やりをしないと、見かけ上は元気でも、生理落下を起こすなど成長に影響が出ます。

一方鉢の通気性が悪い状態では、過度の水やりは、根腐れを起こすなどの影響が出ることがあります。

Q: 地植えをしたいのですが?

庭があってシンボルツリーのように大きく育てたい時などは、地植えをします。地植えは水やりをこまめに行う必要がない、大きく育つと実をたくさん収穫できるなどの利点があります。一方大きくなり枝も茂るので剪定をするなど樹形を整える必要があります。一旦植えると移動は難しいです。植物の成長中は、鉢植えより実が付きにくい傾向があります。

植える場所は日当たりと風通しがよく、水はけのよい場所を選びます。水が多い場所や水捌けの悪い土壌、冬に直接北風が当たるような所は避けます。他の木との間隔は5メートル以上あけるのが理想です。直径50㎝以上、深さも50㎝以上掘り、埋め込む土を用意して苗を植えます。埋め込む土は、堀上げた土に苦土石灰、赤玉、できれば通気をよくする自然由来のチップ、バークの堆肥などなどを混ぜて用意します。PHを6.5以上に調整します。

出来るだけ大きな苗を植えるのがコツです。苗として育苗されて3年以上の苗を植えます。小さな苗は枯れることがあります。オリーブの根は地中深く延びるのではなく、水平方向に延びるので、苗は浅く植えることです。植えた後、支柱をし、葉が風で動いても根が動かないようにします。またたっぷり水を与えます。乾燥が続くときは、灌水をします。

Q: 鉢で育てたいのですが?

鉢植えの特長は、場所を選ばず栽培でき、移動が容易なことです。庭、マンションのベランダ、ビルの屋上など、日当たりが良い所で栽培できます。鉢植えでは木が若く小さくても、実がつきます。テラコッタなどおしゃれな鉢に植え替えることもできます。

鉢植えでは水切れや肥料切れが起きやすいので、日々の管理が必要です。特に開花時期(水不足は、生理落下の原因になります)、夏の成長期と真夏の高温の時期は、水をこまめに与えます。この時期の適切な水は、オリーブを元気にします。

”水と肥料”は、成長の源です。一般には肥料は春(3月)、夏(6月―7月)、秋(10月下旬)に与えます。一般に手に入る化成肥料や固形油粕肥料、あるいはリン(K)が多くない液肥です。化成肥料なら大き目の31㎝の鉢で15-20gぐらい。春先には苦土石灰や貝殻石灰を入れ土壌のpHを調整します。微量要素のホウ素を与えるとよいでしょう。

3-4年同じ鉢で栽培していると、根が大きくなり根詰まりし、土も詰まってきます。鉢を大きなものにすること(鉢上げとも言います。)も、同じ鉢に植え直すこともできます。植え替えの時期は、3月から5月上旬が最適です。

Q: 剪定の仕方を知りたいのですが?

古代からオリーブの剪定の必要性と正しく行った時の良好な収穫は伝えられ、紀元前3世紀のスペインの学者が、引用している有名なことわざがあります。

”オリーブ園を耕す者は実を望み、肥やしをやる者は実を懇願し、剪定をする者は実りを強いる。”(He who ploughs the olive-grove, asks it for fruit; he who manures it, begs for fruit; he who lops it, forces it to yield fruit.)

オリーブ剪定の最大の目的は、葉/根のバランスと葉/木のバランスを整えて、オリーブに新たな萌芽を促し、オリーブの実の生産を最大化し、それを継続させる事です。

オリーブが成長したとき主幹の幹が1本の樹形スタイルと、2-3本のスタイルがあります。複数の主幹のスタイルは、短期間に内に樹冠を大きくできますが、広い樹間が必要です。伝統的なスペインのアンダルシア地方、イタリアのスタイルです。機械収穫の現代は、幹を1本で木を大きくすることが勧められています。

観賞用に玉造り(丸い形の庭木)やオリーブの生垣を作る時は、そのような形に剪定しますが、いずれにしても樹形スタイルを決めて、剪定をします。

剪定には、オリーブの成長段階に合わせ幾つかの種類があります。

育成剪定(Training Pruning):樹形を作りながら大きくする段階の剪定です。
生産時の剪定(Production Pruning):オリーブの実が成り始め実の生産を継続するための剪定です。
再生のための剪定(Renewal Pruning):大きくなった木を切り込み再生させる剪定です。
機械剪定(Machine Pruning ):高密度栽培の大規模オリーブ農園で採用されている機械で行う剪定です。

剪定教室をご覧ください。